今からココから子どもから

一教師の日常をこそっと語りたく・・・

数値化された「学力」には表れない成果が、体験学習には表れる

学力検査の数値の面ではトホホです。でも・・・

中1の生徒たちと高原に宿泊体験学習に行ってきました。

入学して一月ちょっとしか経っていない生徒たちが、日常を離れ、共同生活や体験学習をすることを通して、クラスや学年の交流を深め、これからの学校生活をよりよいものにしていくこと願ってこの行事を行っています。

 

班で協力して行う飯ごう炊さん。危なっかしい手つきながらも、なんとか包丁で野菜を刻む。煙にまかれて涙を流しながらも必死に火の番。ああでもないこうでもないと言いながら、共同で調理をしています。

 

キャンプファイヤーでは、クラスの出し物を発表します。この日のために、時間のない中、朝や放課後の時間を使って、歌やダンスの練習をしてきました。

炎を囲んで、みんなで盛り上がって、互いの発表を讃え合い、その後のフォークダンスは大盛り上がりです。

 

こんなに生き生きした生徒たちの姿を見ると、なんだかこちらまで嬉しくなってきます。

 

 行事というのは、年間で位置づいているものなので、こうような光景は、我々教師にとっては毎年繰り返されるありふれた光景とも言えます。わたしの学校ではもう10年以上この行事を続けています。

 

 

授業を離れたところで発揮されるのが本物のチカラ

しかし、このような光景は決して当たり前ではないのだそうです。この行事が始まった当初から、現地で10年以上ずっとお世話になっているHさんにこんなことを言われました。

 

「さすが先生のところの生徒さんたちは違いますね。この前きた関西の3年生の子どもたちや愛知の2年生の子たちもこんなふうにはとてもできませんでしたよ。やっぱり長野は教育県ですね。」

 

お世辞かと思いましたが、どうもそれだけではないようです。

Hさんが言いたかったのは、子どもの話を聞く姿勢や統制のとれた集団行動の姿、自分から意欲的に活動に関わっている姿が、他県の学齢が上の子どもたちも比較にならないのだということです。

 

恥ずかしながら、全国学力テストなど実施してみると、本校は決してよい数値は出ません。それどころか、こんな低くてどうしたらいいの、と途方に暮れてしまうこともあります。ましてや他県と比較などしたらトホホな実態です。

 

正直、わたしはHさんにそう言われて、とても嬉しい気持になりました。数値にはなかなか表れませんが、わたしたちのこうした地道な取り組みや日常の関わりは成果を上げていると実感できたからです。

 

たしかに数値として見える学力も大切だと思います。しかし、日常を離れたところで発揮されるチカラこそ本物のチカラだと、わたしは考えています。

こうした子どもの成長を支えるベースの部分を鍛えないで、数値として「学力」をいくら語ってみても、所詮それは、たんなる数値のお遊びです。