今からココから子どもから

一教師の日常をこそっと語りたく・・・

教育をマスコミが煽るとロクなことがない!

全国学力・学習状況調査「全国学調」)の結果が先日公表されました。

いつの間にか毎年行うことになってしまったこの調査によって、現場は正直困ったことになっています。

NHKだけでなく民放までこぞって都道府県別の順位についてコメントやインタビュー記事を報道しています。

 

「○○県は大きく順位を上げました。○○県はトップを維持・・・」

 

みたいに「○○県の順位」がワイドショーやニュースになってしまうのです。

これって何かがおかしい!と感じてくれる方はいいのですが、そうでない人にとっては、数字だけが一人歩きし、順位が高ければよくて、低ければ悪いといった単純な価値を植え付けかねない報道のされ方です。

メディアが煽るとろくなことがない、と昔から言われていますが、案の定ろくなことになっていません。

「○○県はこのような実践を行っています。それではご覧下さい!」

という報道がなされ、まるでそうすれば着実に成果が出るかのような紹介ぶりです。しかし、実際の報道は残念ながらメディアにとって都合の良い部分だけが切り取られた偏った報道のされ方です。

そのうち「○○県式」「○○メソッド」といった、「全国学調」で結果を出すための「○○法」なる法則が提唱されることでしょう。

 

果たしてそれでよいのでしょうかねぇ。

 

トップと最下位の県の差とはそもそも何の差なのか、どのような問題が出題されて、どのような傾向があるのか、といった出題や解答・分析に対する吟味の報道は何も扱われてはいません。

ましてや「学力」というは本来「合ってる・間違っている」という単純な方法ではかれるものなのかどうか。そこではかれる「学力」などはほんの一面に過ぎません。

そもそも「学力」とは何かということさえ未だ明確に定義すらされてはいません。

どこそこの県と比べて勝っているとか、全国平均と比べて劣っているとかいうことが、目の前の子どもたちにとってどんな意味をもつのかをよく見極める必要があります。

結論を言えば、現場の教師ができることは、「順位を上げるため」の何かを考えることではなく、今、目の前の子どもたちのことをよく見て、よく考えて、その子たちのためにできることをやるしかないのです。